ウカノミタマ 史料における記載 延喜式祝詞
神名の「ウカ」は穀物・食物の意味であり、同じ意味の「ウケ」「ケ」を名前に持つ食物の女神とは習合していくことになる。平安時代の『延喜式』(大殿祭祝詞(おおとのほがいのりと)祝詞)には、トヨウケビメの別名ともされる屋船豊宇気姫命(やふねとようけひめのみこと)が登場するが、この女神について祝詞の注記では「これ稲の霊(みたま)なり。世にウカノミタマという。」と説明しており、ウカノミタマを女神と見なしていたことがわかる。上述した『書紀』の厳稲魂女も稲の霊であり、これらの記述から、食物の持つ生命力や稲霊(いなだま)が女性的なものと考えられていたことがうかがえる。