ツクヨミ ツクヨミの表記
古事記では「月讀命」のみであるが、日本書紀・第五段の本文には、「月神【一書云、月弓尊、月夜見尊、月讀尊】」と複数の表記がなされている。万葉集では、月を指して「月讀壮士(ツクヨミヲトコ)」、「月人壮士(ツキヒトヲトコ)」「月夜見」などとも詠まれている。逸文ではあるが山城国風土記には「月讀尊」とある。
なお、「ツクヨミ」の上代特殊仮名遣いを表記ごとにまとめると、以下のようになっている。
『古事記』
· 月読 ヨ乙・ミ甲
『日本書紀』
· 月読 ヨ乙・ミ甲 .月弓 ユ―・ミ甲 .月夜見 ヨ甲・ミ甲
『万葉集』
· 月読 ヨ乙・ミ甲 .月夜見 ヨ甲・ミ甲 .月余美 ヨ乙・ミ甲
以上のように、『記紀万葉』においてツクヨミの「ミ」はいずれも甲類で一致しているが、ヨの甲乙は両方にまたがり、「ユ」の例すらある。
ヨ、ユ音に着目して表記例をまとめると、
· ヨ乙 月読、月余美 .ヨ甲 月夜見 .ユ 月弓
に分かれる。