上御井神社 上御井
「上御井」(かみのみい)は、神に供える水を汲み上げる井戸である。上御井の予備の井戸として下御井神社(しものみいのじんじゃ)が祀られているが、これまで上御井が涸れたことはないとされる。ただし、『太神宮諸雑事記』には永承5年(1050年)に上御井の水が涸れ、土宮(つちのみや)の前の水、すなわち下御井の水を汲んだと記されている。上御井に異変が生じた際は朝廷に使いを出し祈謝したと言われ、神聖視されてきた。
神職は毎朝、上御井から桶1杯分の水を汲み上げる。水を汲むときは、浄衣(じょうえ)をまとった神職が覆屋の御扉の鍵を開け、片側の御扉のみを開けた状態で柄の長い柄杓(ひしゃく)を用いて手桶に水を汲む。神職は御井に自分の姿を映してはならないと言い伝えられてきた。また、伊勢神宮で醸造する神酒の原料となる水も上御井から汲み上げられる。