橋姫 宇治の橋姫 鉄輪(かなわ)
『平家物語』の「剣巻」(つるぎのまき)を元に話を膨らませた能の演目『鉄輪(かなわ)』がある。橋姫が頭にかぶった鉄輪から名が取られている。
橋姫は、後妻に夫を奪われた女性となっている。元夫と後妻は、呪い殺される寸前で怪異に気づき、安倍晴明に相談すると、このままでは今夜までの命と告げられた。
晴明は夫婦に頼まれ、形代(かたしろ。身代わりの人形)を使った呪い代えを試みると、鬼女が姿を現わした。その姿は、川での儀式の時と同じ、鉄輪や松明をつけた姿であった。舞台では、嫉妬と復讐心に顔を歪める女性の能面「橋姫」が使われる。
橋姫は夫婦に襲い掛かるが、晴明と三十番神(さんじゅうばんしん)に撃退され、「時期を待つ」と言い残して消えていった。
剣巻で重要登場人物だった源綱は登場しない。