弘仁式 内容
従来、『八十一例』・『式部省例』・『民部省式』など、必要に応じて太政官及び諸官司で例もしくは式を作成していたが、ここにおいてこれら官司の例式や古事先例などを集めて取捨選択を行って改めて官司ごとに排列し、配するのに適切な官司が無い場合には巻末に雑式として一括した。『貞観式』制定後も同式に規定のない事項については、従来通り『弘仁式』を用いる事となっていたために混乱が生じた。このため、改めて統一的な『延喜式』が編纂されて、以後『弘仁式』・『貞観式』は用いられなくなった。
原文は全巻亡失しており、九条家本『延喜式』(現在国宝、東京国立博物館所蔵)の紙背文書(しはいもんじょ)にたまたま遺された。巻十九 式部(しきぶ)下と巻二十五 主税(しゅぜい・ちから)上の断簡及び、諸書に見える逸文のみが知られているに過ぎない。なお、30巻本写本と称するものが存在するが、これは偽書である。