天岩戸 神話での記述 世界の神話
インドネシア・タイ・トルコ・モンゴル・中国南部・サハリンなどアジアには広く射日(しゃじつ)神話・招日(しょうじつ)神話が存在する。特に中国南部の少数民族に天岩戸と似た神話が多い。
ミャオ族は、九個の太陽と八個の月が一斉に出てきた。弓矢で八個の太陽と七個の月を刺し殺す。残った一つずつの日月は隠れてしまった。天地は真っ暗。知恵者を集めて相談しオンドリを鳴かせる。オンドリは翼を叩いて三度鳴くと日月が顔を出した。
プーラン族は、太陽の九姉妹と月の十兄弟は、揃って天地の間にやって来て一斉に照りつける。八個の太陽と九個の月を射落し、さらに残った月も射殺そうとした。逃げ出した太陽と月は洞窟に隠れ夫婦になった。世界が真っ暗になったので、オンドリを遣わし太陽と月を洞窟から出るよう説得させる。一人は昼もう一人は夜に別々に出てくること、ただし月の初めと終わりには洞窟の中で会っていいとした。月と太陽が洞窟から出ようとしたとき大きな岩が邪魔をして出られない。そこで力自慢のイノシシが岩を動かして入口を開け太陽と月を外に出してやった。
ペー族には、天地が離れ始めた頃、天に十個の太陽と一個の月が昇った。子供の太陽たちは昼夜を分かたず天を駆ける。そのため地上は焼けるような熱さで、蛙と鶏の兄弟は太陽を追って槍で九個の太陽を刺し殺してしまう。両親である母・太陽と父・月は恐れて天眼洞の奥深くに隠れてしまい世は真っ暗闇。そこで蛙は天を、鶏は地を探した。鶏が声を放って呼ぶと太陽と月は天眼洞から顔を出し、こうして大地に日月が戻った。人々は太陽を呼び出した鶏に感謝して、赤い帽子を与えた。
その他の少数民族にもさまざまなパターンで存在する。中には太陽と月を射殺した者が逃れて隠れた太陽と月に色々捧げてなんとか外に出て来てもらう神話や、美声を使って出て来てもらう神話もある。
中国北方の馬の文化では太陽を男性とみなし、南方の船の文化では太陽が女性として信仰されていた。シベリアでもナナイ族やケト族など太陽を女とみる少数民族が多い。