高千穂神社 祭神 ②

 


十社大明神の中心である三毛入野命は、「記紀」に浪穂を踏んで常世国(とこよのくに)に渡ったとあるが、当地の伝承では、高千穂に戻り当時一帯を荒らしていた鬼神の鬼八(きはち)を退治、当地に宮を構えたと伝える。また文治5年(1189年)3月吉日の年記を持つ当神社の縁起書『十社旭大明神記』には、神武天皇の皇子「正市伊」が「きはちふし」という鬼を退治し、その後正市伊とその子孫等が十社大明神として祀られたという異伝を載せている。更に、正和(しょうわ)2年(1313年)成立の『八幡宇佐宮御託宣集』巻2に、「高知尾(明神)」は神武天皇の御子である神八井耳命(かんやいみみのみこと)の別名で、「阿蘇(大明神)」の兄神であるとの異伝もあり、また、『平家物語』巻8緒環段では、「日向国にあがめられ給へる高知尾の明神」の正体は「大蛇」で豊後緒方氏の祖神であるとしている。



また、鵜目姫命は祖母岳(そぼだけ)明神の娘神で、鬼八に捕らわれていたところを三毛入野命に助け出され、後にその妃神になったという。