イワナガヒメ 解説
イワナガは岩の永遠性を表すものである。コノハナノサクヤビメとイワナガヒメの説話はバナナ型神話の変形であり、石(岩)がイワを名前に含んだ女性に変化している。 上記の説話から不老長生の神として信仰される。
イワナガヒメだけを祀る神社は雲見浅間神社(くもみせんげんじんじゃ。静岡県賀茂郡松崎町)や大室山(おおむろやま。静岡県伊東市)の浅間神社、伊豆神社(いずじんじゃ。岐阜市)が挙げられるがその数は少なく、全国のその他の浅間神社(あさま/せんげんじんじゃ)ではコノハナノサクヤビメと共に祀られている。
また、本殿に祀る神社として、滋賀県草津市に伊砂砂神社(いささじんじゃ)があり、主祭神として石長比賣命・寒川比古命(さむかわひこのみこと)・寒川比女命(さむかわひめのみこと)・伊邪那岐命・素盞嗚命の五神を祀っている。
雲見浅間神社と大室山浅間神社にイワナガヒメのみが祀られているのは、富士山のコノハナノサクヤビメと対峙して祀られているものである。この静岡県伊豆地方では、醜いためにニニギに遠ざけられたイワナガヒメに同情して、イワナガヒメの化身である大室山に登ってコノハナサクヤビメの化身である富士山を褒めると、怪我をするとか不漁になるなどの俗信がある。
伊都国の中心とされる福岡県糸島市三雲(みくも)の細石神社(さざれいしじんじゃ)には、妹のコノハナノサクヤビメと共に祭神として祀られている。
貴船神社(きふねじんじゃ。京都市左京区)の結社(ゆいのやしろ)では、縁結びの神として祀られている。
兵庫県尼崎市には磐長姫神社があるが、これは近くにある貴布禰神社(きふねじんじゃ)に関係するものであり、歴史は浅い。
筑波山(茨城県つくば市)の月水石神社(がっすいせきじんじゃ)でもイワナガヒメが祀られ、イワナガヒメが没したとされる磐座(いわくら)が祀られている。
宮崎県西都(さいと)市の銀鏡神社(しろみじんじゃ)では、イワナガヒメが鏡に映った自分の醜い容姿を嘆くあまり、遠くに投げたと伝えられる鏡がご神体として祀られている。