生大刀 神話

 


大己貴命(おおなむちのみこと。大国主)が兄たち八十神の追撃から逃れるべく逃げ込んだ根の堅州国で、須佐之男命の娘・須勢理毘売命(すせりびめのみこと)と出会い、二柱の神は一目惚れした。 しかし須佐之男は大己貴に様々な試練を課し、時には命を落としかけることもあった。そこで大己貴は、須佐之男に頼まれて髪のムカデ取りをしているように見せかけ、須佐之男が眠ったところで彼の髪を柱に結びつけた。そして生大刀(いくたち)生弓矢(いくゆみや)天詔琴(あめののりごと)の神器と須勢理毘売を背負って逃げようとした。ところが、天詔琴が木に当たって鳴り響き、須佐之男が目を覚まして追いかけて来てしまう。しかし葦原中国(あしはらのなかつくに)に通じる黄泉比良坂(よもつひらさか)まで追ったところで立ち止まり、「お前が持つ大刀と弓矢で従わない八十神を山へ追い伏せ、川の瀬に追い払え。そしてお前が大国主、また宇都志国玉神(ウツシクニタマ)になって、スセリビメを妻として立派な宮殿を建てて住め。この野郎め」と言った。 新たな名を授けられた大国主神は、その生大刀と生弓矢で八十神を倒し、葦原中国を治めたとされる。