天照大神 全国の天照大御神伝承 ②

 


· 鳥取県因幡八上(やかみ)郡には、天照大御神がこの地にしばらくの間行宮(あんぐう)する際、白兎が現れて天照大御神の裾を銜(くわ)えて、行宮にふさわしい地として、現在も八頭町(やずちょう)鳥取市河原町の境にある伊勢ヶ平(いせがなる)にまで案内し、そこで姿を消したとされる。八頭町の青龍寺の城光寺縁起と土師百井(はじももい)の慈住寺記録には、天照大御神が国見の際、伊勢ヶ平付近にある御冠石(みこいわ)に冠を置かれたという伝承が残っている。この伝承と関連して八頭町に3つの白兎神社(はくとじんじゃ)が存在し、八頭町米岡にある神社は元は伊勢ヶ平にあった社を遷座したものと伝えられるが、天照大御神の具体的な伝承に基づく全国的に見ても極めて珍しい神社である。

 


· 同じく鳥取県八上の氷ノ山(ひょうのせん)の麓、若桜町(わかさちょう)舂米(つくよね)には天照大御神が大群を従えての行幸伝承とともに、天照大御神御製の和歌が伝わっている。2007年(平成19年)、若桜町舂米地区内で天照大御神が腰掛けをされたさざれ石が発見された。

 


· 氷ノ山の名は、天照大御神が樹氷の美しさに感動され日枝(ひえ)の山と呼ばれたことが起源とされ、氷ノ越えの峠(ここにもかつて白兎を祀る因幡堂があった)を通って因幡をあとにしたとされる。

 


· 現在は存在しないが、熊本県八代(やつしろ)市には上古に天照大御神の山陵が在ったと伝えられる。

 


· 宮崎県高千穂町岩戸にあり天照大御神を祭神とする天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)の周辺には、岩戸隠れ神話の中で天照大御神が隠れこもったとされる天岩戸(あまのいわと)をはじめ、複数の神話史跡や関連の地名が残る。