愛宕権現 塞神信仰
塞神(さいじん。塞の神(さいのかみ))信仰や陰陽道の影響から、愛宕山は平安京の北西(乾。けん)に位置する守護神ともされた。また、元愛宕(もとあたご)とされる丹波国の阿多古神社(あたごんじんじゃ)の阿当護神(あたごのかみ。愛当護神)は、貞観(じょうがん)6年(864年)従五位下に、貞観14年(872年)従五位上に、そして元慶(がんぎょう、げんけい)3年(879年)従四位下に列せられた。塞神信仰から、愛宕山は京の火難除けや盗難除けの神として信仰されたが、愛宕修験によって阿当護神と本尊の勝軍地蔵が習合して火防せの神である愛宕権現として日本全国に信仰が広まった。
愛宕山白雲寺の参拝者は祈祷を受け、お札や火伏せの神花である樒(しきみ)を受領した。お札は「愛宕山大権現守護所」と書かれた朱札と、声聞地蔵(しょうもんじぞう)・毘沙門天・不動明王を描いた「三尊図像」の二種をセットにしたもので、各坊の名を印刷した包紙に包んで渡された。