香椎宮 境内 旧跡
古宮
「ふるみや」。本殿から北東方に所在する。仲哀天皇の営んだ仮宮「橿日宮(訶志比宮)」の伝承地で、仲哀天皇の廟跡と伝える。大正4年(1915年)までは仲哀天皇を祀る祠が存在したが、同年に本殿に合祀されている。玉垣内には、仲哀天皇の棺を掛けたという神木「香椎」(棺掛椎<かんかけのしい>)が立つ。付近には「仲哀天皇大本営御旧蹟」碑も建てられている。
綾杉
「あやすぎ」。中門前の広場に立つ神木。「綾杉」の木名は、杉の葉が交互に生える様を綾(あや)に例えたことによる。神功皇后が三韓征伐から帰国した際、剣・鉾(ほこ)・杖(つえ)の三種宝を埋め、鎧の袖に挿していた杉枝を本朝鎮護祈願で植えたものという。太宰帥(だざいのそち/だざいのそつ)に任じられた者は、香椎宮に参拝して神職からこの杉の葉を冠に挿される例であったとする。『新古今和歌集』などでは、この綾杉に関して読んだ歌が収められている。
不老水
「ふろうすい」。本殿から北方の山手に所在する霊泉。別名を「御飯(おいい)の水」「老(おい)の水」とも。「不老水」の泉名は、仲哀天皇・神功皇后に仕えた武内宿禰が、この泉の水を汲んで食事・酒を調えて300歳以上という長寿を保ったことによるといい、天平宝字2年(758年)に井戸が補修された際にそう名付けられたとする。一帯は武内宿禰が居住した地として「武内屋敷跡」と称される。この不老水は、毎年正月に綾杉・椎茸とともに皇室に献上される。昭和60年(1985年)には名水百選に選定された。