祭文 歴史 浄瑠璃『新版歌祭文』について

 


野崎村の段」(のざきむらのだん)が特に知られる浄瑠璃『新版歌祭文』の冒頭は、「敬白(うやまってもうす)」という祭文の語り出しを踏襲している。この作品は、近松半二(ちかまつ はんじ)世話物として知られ、「おそめ久松」の心中事件を下敷きにしている。ここでは、



なさけのたねをこなすあぶら屋おそめといふて、ひとりむすめのこころはわかめ、うちのこがいの久松と…



所はみやこの東堀、聞いて鬼門の角屋敷、瓦屋橋とや油屋の一人娘にお染とて、心も花の色ざかり、歳は二八(にはち)の細眉に、内の子飼いの久松が、しのびしのびに寝油と、親たち夢にも白絞り(しらしぼり)



など歌祭文の歌詞も取り入れられている。