祭文 歴史
祭文は、神道における祝詞を母体にしながら生まれ、中世には仏教の声明(しょうみょう)の強い影響を受けて山伏らによる民間への布教手段として語られるようになり、次第に宗教色を薄めて近世には遊芸となったものである。
巫女が憑依するときに唱える祝詞も祭文の一種である。現代では東北地方を主としておこなわれる民間信仰「おしら様」(おしらさま)において、盲目の巫女「イタコ」が一対の木片(これを「おしら様」と称す)を祭日に遊ばせる際、「おしら祭文」が語られる。
一方、託宣が祭文のかたちをとってこんにちに残されたものとしては、伊豆諸島の青ヶ島(あおがしま。東京都青ヶ島村)に伝わる祭文や高知県に伝わる「いざなぎ流」の祭文がある。