高倉下 神話の記述 ①
記紀
『古事記』、『日本書紀』によれば、神武天皇とその軍は東征中、熊野で悪神の毒気により倒れた。しかし、高倉下が剣をもたらすと覚醒したという。高倉下がこの剣を入手した経緯は次のようなものである。高倉下の夢の中で、天照大神と高木神が、葦原中国が騒がしいので建御雷神(タケミカヅチ)を遣わそうとしたところ、建御雷神は「自分がいかなくとも、国を平定した剣があるのでそれを降せばよい」と述べ、高倉下に「この剣を高倉下の倉に落とし入れることにしよう。お前は朝目覚めたら、天つ神の御子に献上しろ」と言った。そこで高倉下が目覚めて倉を調べたところ、はたして本当に倉の中に剣が置いてあったため、それを献上したのである。この剣は佐士布都神(さじふつのかみ)といい、甕布都神(みかふつのかみ)とも布都御魂ともいい、石上神宮(いそのかみじんぐう)に祀られている。