廣峯神社 祭礼 ②

 

 

l 御田植祭

おたうえまつり。4月3日) 

 


稲の豊作を占う神事で、農業の神として崇拝されてきた当社の祭礼の代表的なもの。姫路市の無形民俗文化財に指定されている。以下に述べる祈穀祭とともに、その年の実際の稲作に先んじて、擬似的に田植えから稲刈りまでを行い、その年の稲作の豊饒を祈願する神事である。



式次第は、4月3日午前、御旅所である天祖父神社(あまさいじんじゃ)から本殿までを、衣冠(いかん)装束の神職、神の依代である傘鉾(かさぼこ)を持った傘持ち、造花を付けた花笠(はながさ)、赤襷がけの田植えをする早乙女、田植えの際に笛と太鼓で祭囃子を奏でる白衣青袴の楽団、昔さながらに蓑笠をまとい鋤鍬を持って仮田を耕す田人、及び苗に見立てたジャノヒゲの入った苗箱を天秤棒で担いだ苗運びが行列をなして練り歩く。本殿前到着後、まず、山門前に傘鉾が据えられ、神職が祈願を行った後、予めワセ、ナカテ、オクテの三種類の稲用に三分割して砂盛りのしてある仮田に田人が鋤(すき)鍬(くわ)を入れ、その後、早乙女がそれぞれ仮田に稲の苗に見立てたジャノヒゲを植える。早乙女の田植えに合わせて楽団は祭囃子を奏でる。なお、現在、早乙女のうち3人は姫路市の広報活動を実施している「お城の女王」が務めている。



昭和30年代までは毎年、溢れんばかりの参拝者で賑わったが、その後、農業の衰退や祭囃子を演奏できる者がいなくなったことで一時途絶えていたものを、平成8年(1996年)、地元の商工業者が顕彰会を立ち上げ、復興した。