キノミヤ信仰
キノミヤ信仰(しんこう)とは、日本における民間信仰の1つである。
キノミヤ信仰は、神奈川県西部から静岡県伊豆半島にかけての相模灘(さがみなだ)沿岸部に広く分布する信仰で、主に「キノミヤ」を冠する神社をその対象としている。「キノミヤ」は、木宮、貴宮、黄宮、木野宮、紀伊宮などと書かれ、その祭神も一定でないが、樹木神か漂着神を祀る場合が多い。
その名称の由来については諸説あって定説を見ないが、有力なものに以下のものがある。
· 「来の宮」説
-- 現鎮座地あるいはかつての鎮座地が海岸部に位置し、その創祀も漂着物を神体として祀るとするものが多いことから、漂着神(寄り来る神)に由来するという説
· 「木の宮」説
-- 神木を信仰する樹木信仰、あるいは木地師(きじし)の信仰に由来するという説
· 「忌の宮」説
-- 祭祀の時に行われていた物忌みに由来するという説
· 「紀の宮」説
-- 紀伊国の神、すなわち熊野権現などに由来するとの説であるが、「紀伊」という地名がそもそも「木」に由来するので、上記「木の宮」の亜種とも見られる
もっとも定説を見ないのは、漂着した木株を祀ったとするなど、各要素が複合的に見られるためでもあり、未解明のところが多い信仰である。