両面宿儺 その他
l 両面宿儺像は千光寺・善久寺・日龍峰寺などにあるが、いずれも頭の前後に顔があり、唐風の甲冑を着け斧や剣を帯びる。善久寺のものは合掌した手に斧を横に持ち韋駄天(いだてん)の像容に類似する。円空(えんくう)作と伝えられる像(千光寺蔵)は、二つめの顔が肩に並ぶ。
l 2006年の発掘調査で、近畿地方の和歌山市 岩橋千塚(いわせせんづか)古墳群にある大日山35墳(6世紀前半)から前後両面に顔を持つ人物埴輪(頭部のみ)が出土した。この両面埴輪は貴人埴輪に多い下げ美豆良(みずら)をしている。ただし、両面宿儺との関連については現在のところ明かではない。
l 頭部や腰が結合した状態で生まれてくる事例は現実にもあり(結合双生児)、したがって、ありえない存在ではない。一つ目小僧と同様、医学的に説明がつく怪人といえる。ただし、一つ目小僧が民俗学や医学の分野で語られるのに対し、宿儺は考古学的見地からよく語られる。
l 高山市 丹生川町(にゅうかわちょう)の特産品の野菜として、宿儺かぼちゃがある。
l ローマ神話のヤーヌスと外観上の類似(前後両面の顔)があるが、日本と地理的に近いのは、スマトラ西海のニアス島のシレウェ・ナザラタ(ロワランギの妹兼妻神)である。この神像は顔が二つ(かつ両性具有)として表現される。多面一身の神というだけなら、『古事記』に登場する伊予之二名島(いよのふたなのしま。四国島)・筑紫島(つくしのしま。九州島)がそれぞれ四面一身の神として語られている。
l 下呂市金山町 中津原(なかつはら)の下原八幡神社(しもはらはちまんじんじゃ)は、両面宿儺を討伐するために飛騨へ来た武振熊命が当地に仮の斎場を設け武神(八幡神)を祭ったのが神社の起源とされている。
l 豊田有恒(とよた ありつね)『両面宿儺』小説の登場人物が両面宿儺についての考察をしている。(短篇。これを表題作とする著者の短編集の他いくつかのアンソロジーに収録)