氷川信仰(ひかわしんこう)

 


氷川信仰(ひかわしんこう)とは、スサノオに対する神道の信仰の一つである。

 

 



日本三大実録(にほんさんだいじつろく)や『延喜式神名帳』に「氷川神(ひかわのかみ)」と記載され、正四位上まで昇った。これが現在、氷川信仰の総本社とされる埼玉県さいたま市大宮区にある氷川神社(ひかわじんじゃ)の前身である。



農業用水として役割が大きい半面氾濫を起こす暴れ川・荒川(あらかわ)の本支流域に多く、ヤマトタケルの東征経路や、8世紀出雲族出身の无邪志国造(むさしのくにのみやつこ/むさしこくぞう。武蔵国造)が開拓したと伝えられる地域と一致した分布を示しており、氷川という名も出雲国の簸川(ひかわ、現:斐伊川(ひいかわ))に由来するとされる。



中世以降、源頼朝を始めとする坂東武者(ばんどうむしゃ)の信仰の対象にもなり、各地へ勧請された。氷川神社より勧請を受けた神社は、関東地方を中心におよそ1,000社ある。かつては「氷川明神」と称し、江戸時代には江戸市中の7社を特に「江戸七氷川(えどななひかわ)と称したこともあった。現在、スサノオ以外にもクシナダヒメ大国主の妻子(孫)を配祀する社が多い。