三吉鬼(さんきちおに)
三吉鬼(さんきちおに)は秋田県に伝わる正体不明の妖怪。江戸時代の女流文学者・只野真葛(ただの まくず)の著書『むかしばなし』に記述がある。
大酒のみで、山から人里に下りてきてふらりと酒屋に現れる。酒を飲むと代金を払わずに出て行くが、夜中に代金の10倍ほどの値打ちのある薪を置いて行くという。しかし、このように薪を置いて行くのは代金を請求せずに黙っていたときのみであり、代金を無理に請求すると仇をなされてしまうといわれる。
また真葛の『むかしばなし』によれば、1人では到底動かせない荷物があるなど、大きな仕事があるときには、酒樽を供えて三吉鬼に願をかけると、一夜のうちにその仕事が終わっていたこともあるという。そのために大名まで三吉鬼に仕事を頼んでいたという。
そのように人々にもてはやされていた三吉鬼だが、文化年中より30-40年ほど前からは人里に現れることはなくなったという。
こうした三吉鬼の伝承には秋田の太平山(たいへいざん)に伝わる鬼神・三吉様(さんきちさま)の信仰が背景にあるといわれ、太平山三吉神社(たいへいざんみよしじんじゃ)の三吉霊神(みよしのおおかみ)が人間の姿で人前に現れたときには三吉鬼の名で呼ばれたとする説もある。