田の神 田の神の祭り 田植(大田植、花田植)

 


田植は農耕儀礼の最も重要な段階であった。この行為がかつて祭の儀礼をなしていたことは今に残る大田植の形態にみとめられる。



大田植(おおたうえ)は、字義通りには大規模な田植ということだが、最も多く植える日、田植盛りの日、最も大きな田の田植日、田植終いの日など、さまざまな意味で用いられる。中国地方の山間部では、旧家の由緒ある田に美しく着飾ったを入れて代かきをし、ささら太鼓鉦(かね)などの囃子(はやし)に合わせて田植歌をうたいながら早乙女たちが田植をすることを大田植と呼んでいる。同様の行事を花田植(はなたうえ)と呼ぶ地方もある。

 

 

早乙女

田植の日に苗を田に植える女性のことを早乙女(さおとめ)と呼んでいる。ハレの役であり、神に奉仕する神役でもある。この日はハレ着(紺の単衣(ひとえ)に赤い襷(たすき)、白い手ぬぐい、新しい菅笠(すげがさ))を着用した。田植衣装のこうした華々しさは、田植が重要なハレの行事であったことを物語っている。 五月女と書くこともある。

 

 

田植飯

田植の日に田で働く人々が食べる飯を田植飯(たうえめし)と呼んでいる。これは、田の神と一緒に食べる神聖な食事で、その炊飯も年神に供えた割木を束にした年木を燃料に使うとされている。田植飯を田に運ぶのは、着飾ったオナリと呼ばれる女性である。オナリの仕事は、かつては家早乙女内早乙女と呼ばれた田主の家族の若い女性の役目であったが、早乙女が田植をする女性をさすようになって、両者が区別されるに至ったものと考えられる。