田の神 田の神の祭り 年神様、年頭の予祝祭
家中の掛け軸をかけ、机をおいて、その上に酒食を供えて年神(大歳神)をまつることは今日でも広くおこなわれている。ナラセ餅(餅花。もちばな)の小枝を供えるところもある。
予祝行事としては、東京都板橋区にのこる田遊びや和歌山県かつらぎ町 花園の御田舞(はなぞののおんだまい)(ともに重要無形民俗文化財)が、年頭や小正月におこなわれるものとしては古い形態をよくとどめており、今日では4月におこなわれる宮城県仙台市 秋保(あきう)の田植踊(たうえおどり)(重要無形民俗文化財)も元来は厳寒の小正月期におこなわれていた予祝芸能である。秋田県横手市吉田の「雪中田植え」や青森県八戸市の「えんぶり」をはじめとする庭田植の行事、さらに、田の神そのものではないが、それと深くかかわるものとしては、東日本に広く伝承されている小正月の鳥追い行事、かまくらなど水神の祭礼、どんど焼きをはじめとする左義長(さぎちょう)の行事、また、ナマハゲ・サイノカミ・トシドン・アマハゲなど日本各地に広がるトシノカミの訪問も、予祝の性格をもつ民俗行事である。