黄金山神社(石巻市) 境内 ③
祈願者による「お山がけ」も行われ、それには大きく表廻りと裏廻りの2種があるが、表廻りは本殿背後の末社 滑石神社(なめらいしじんじゃ)から山中の奇岩奇石を巡って菖蒲平(しょうぶだいら)に達し、そこから山頂無双峯に登って大海祇神社を拝すもの。裏廻りは無双峯から同様に巨岩を拝しつつ胎内潜りを過ぎ、開山上人座禅石や山形石等の奇石を経て東海岸迄下った後に、千畳敷、千人沢、大函崎、賽の河原と東部海岸を巡り、阿弥陀峠を越えて本殿に帰る。
島内にはおよそ530頭の野生の鹿が蕃息し(平成19年(2007年)時点)、神使として保護されている。もっとも、仙台藩初代藩主の伊達政宗が金華山において鹿狩りを行ったとの伝えがあり、事実とすれば古くは狩猟も行われ、保護はされていなかった事になる。それが、江戸時代後期には鹿狩りの神罰によって勢子1,000人が海に沈められたとの伝えがあるので、近世以降に神使と見做されるようになったと思われる。また、境内社の滑石神社の祭神(武甕槌神。たけみかづちのかみ)が茨城県鹿島神宮の分霊で同神宮が鹿と親密な関係をもつので、そこから金華山の鹿も神使とされたのではないかという推測もある。