黄金山神社(石巻市) 境内 ②


主な境内社

 

l 大海祇(おおわたつみ)神社

 

金華山山頂に奥ノ院として鎮座する。かつては竜蔵三社大権現社と称され、海上守護の神で十一面観音垂迹とされた竜蔵権現を祀り、或いは弁財天または蔵王権現を祀るとの別伝もあったが、明治以後は大綿津見神(おおわたつみのかみ)市杵島姫神いちきしまひめのかみ。神仏習合時代には弁財天の垂迹とされていた)、天之御柱神(あめのみはしらのかみ)、国之御柱神(くにのみはしらのかみ)の4柱を祀る形に改められている。本殿は桁行1間梁間2間の神明造銅板葺、前面屋根に身舎(もや)幅よりやや狭い向拝を付す。例祭3月18日。



社殿近くには修験道祭祀の名残を見せる護摩壇が東方海上に面して組まれているが、そこではなお火の上に日の出が来るように柴燈護摩(さいとうごま)が焚かれている。

 

 


l 樁(かなぐい)神社

 

随神門から拝殿に上る石段の南側、木立の中に鎮座する。『封内風土記』に伝える創祀縁起に因む神社で黄金山神社の鎮守とされ、明治以後は大己貴神(おおなむちのかみ。大国主)始め12柱の神が祀られている。本殿は方1間入母屋造平入銅板葺で、諸末社中最も精巧な造りとなっている。例祭6月25日。

 

 


l 濱(はま)神社

 

境内西麓に鎮座し事代主神ことしろぬしのかみ。恵比須尊)を祀る。往時は金華山港の亀石上に祀られており、漁を司る神として漁期に入ると豊漁を願う漁師により掛魚(かけよ)等が常に奉納されたという。現在の亀石は堤防で陸続きとなっているが、それ以前は小舟で渡る必要があり、近代になって参拝が困難な理由から内陸部に遷座されたようである。本殿は方1間入母屋造平入銅板葺。例祭7月10日。なお、亀石は古く亀島とも呼ばれ、女人禁制時代に牡鹿半島に住む亀という女人が禁を犯しての渡島を試み、山鳥渡を泳いで渡って上陸しようとしたところ神の怒りによって石に変えられたものという。