太鼓台(舁き山) 概要

 


この太鼓台という名称には、練り歩く際に太鼓の存在がどれほど重要かが現れている。太鼓の叩き方は地方によって異なり、掛け声も「チョーサージャ(又はヨーイッサージャ)」「ソウリャ、ソウリャ 」「ヨッサイ、ヨッサイ」「ヨーサージャ、ヨイヨイサージャ 」「ベーラーベーラー、ベラッショッショ」等々地方ごとに特徴がある。中には、地理的に離れた地方同士で類似した掛け声をもつところもある。



龍は雨を呼ぶ神、またはその使いとされていることから、重の四隅の括りの両端から伸びる房が雨をあらわすものとされた。このため、古来より渇水の多い香川県愛媛県東部等での特に稲作が盛んな地域では、神輿としての用途よりもむしろ「雨乞い神具」としての性格をもって太鼓台が分布した。



太鼓台には神輿みこし。神の輿)としての役割はないが、布団屋根の太鼓台の布団部分、また神輿屋根の太鼓台の擬宝珠(ぎぼし、ぎぼうしゅ)部分には神霊が宿ると考える地域があることから、ある種の依り代とも考えられる。このようなことから、太鼓台に女性が触れることを禁忌とする(した)地方も多い。少年が太鼓を叩くところがあり、この場合は稚児などのように厚化粧となったり豪華な衣装を着たり、大人に肩車され地面に足を付けない所もある。



曳き山の山車と舁き山の太鼓台との大きく異なる点は、曳き山が引くという形式であるのに対して、舁き山は神輿と同様に担いて運行されることである。担ぐことによって足場状態の影響を受けにくいという面があり、段差や階段等の高低差のある場所や山間部等の坂路の多い地域においても比較的容易に運行することができる。



神前や観衆への見せ場(交差点等の広くなった場所)において最も多く行われる練りは、太鼓台を頭上高く持ち上げて舁く「差し上げ」である。その他にも、放り上げる、大きく揺らす、回転させる、土台(台輪)部分のみで担ぐ、複数で練り競う(かきくらべ)、どちらが早く差し上げられるかを競う、等といった動作で練るところがある。これはその地方の伝統が反映された特徴によるもので、その土地の祭礼ごとに異なる。



太鼓台の様式や外観にその地域の土地柄や文化を反映した伝統的な形態を残す地域もあるが、地域経済の発展や氏子主導の祭りへの変化から祭りにイベントとしての要素が強まった地域が増加、見せる祭りとして大型化した太鼓台や飾り幕・刺繍等による豪華な装飾を施したもの、流行の主流となりつつある形態に変更したものが多く見られるようになった。珍しい例であるが地方によってはその地方特有に個別の変化をして太鼓台そのものの外観がすっかり変わってしまったところもある(愛媛県西条市の御輿(みこし)が顕著な例)。