土佐神社 境内 社殿 ①

 

現在の主要社殿は、室町時代後期の戦国大名・長宗我元親(ちょうそかべ もとちか)による造営。旧社殿が本山氏(もとやまし)による岡豊城(おこうじょう)侵攻の兵火で焼失したため、元親が四国平定を祈念して永禄11年(1567年)に再建に着手し、元亀2年(1571年)に完成したとされる。主要社殿は本殿・幣殿・拝殿から成り、本殿前に建つ幣殿と拝殿は平面に「十」字形を成す。これらは本殿を頭としたトンボ(蜻蛉)が飛び込む形を表す「入蜻蛉(いりとんぼ)」形式といわれ、戦からの凱旋報告を意味するとされる土佐神社独特なものである。これらの本殿(1棟)と幣殿・拝殿(合わせて1棟)は、いずれも国の重要文化財に指定されている。なお若宮八幡宮わかみやはちまんぐう。高知市長浜)では、出陣に際しての戦勝祈願を意味する「出蜻蛉」(でとんぼ)形式の社殿が、同じく元親によって造営されている。各社殿の詳細は次の通り。

 

 

 

本殿

桁行五間・梁間四間、一重で、前面中央三間に向拝一間を付す。屋根は入母屋造で柿葺(こけらぶき)。外面は全体に極彩色で彩られ随所に彫刻が施されており、本殿内部は内陣・外陣に分かれている。全体的に寺院の本堂に近い造りになる。

 

幣殿

本殿前に立つ。桁行二間・梁間一間、一重。素木造(しらきづくり)で、屋根は切妻造で柿葺。

 

拝殿

幣殿前に接続する。中央の高屋根部分は桁行一間・梁間一間、一重。高屋根部分の前面に桁行六間・梁間一間の「拝の出」を設け、高屋根の左右には桁行四間・梁間二間の翼殿を付す。素木造の簡素な造りで、屋根はいずれも切妻造で柿葺。