サルタヒコ 解説

 

『日本書紀』には、天宇受売神は胸乳を露わにし裳帯(もひも)を臍の下に垂らしたとあるので、性的な所作をもって相対したことになる。神話では二神が結婚したと伝えられている。

 

 

「鼻長七咫、背長七尺」という記述から、天狗の原形とする説がある。「天地を照らす神」ということから、天照大神以前に伊勢で信仰されていた太陽神だったとする説もある。

 

 

その異形な風貌から赤鼻の天狗とされるが、仏教、特に密教系の烏天狗と混同されやすい。

 

 

三重県鈴鹿市椿大神社(つばきおおかみやしろ)、三重県伊勢市宇治浦田の猿田彦神社(さるたひこじんじゃ)がサルタヒコを祀る神社として名高い。また、祭礼神輿渡御の際、天狗面を被った猿田彦役の者が先導をすることがある。

 

 

他にも滋賀県高島市白鬚神社(しらひげじんじゃ)の祭神とされたことから白鬚明神の名でも全国各地に祀られている。また子孫である大田命、内宮興玉神(おきたまのかみ)とも同一視される。さらに江戸時代に入って「サル」の音から庚申講(こうしんこう)と結び付けられたほか、垂加神道(すいかしんとう)では「導きの神」として神道の「教祖」とされるなど複雑な神格を持つ。

 

 

こうしたことから近年は、謎の神として鎌田東二(かまた とうじ)などの学者にクローズアップされている。鎌田は、サルタヒコとアメノウズメの協働を国津神であるサルタヒコの裏切りではなく、新しい日本の体制を開くための和睦と解釈し、サルタヒコを日本的霊性の現像ととらえている。

 

 

常陸国の住人に猿田氏(さるたし)があり、猿田彦の末裔であるとされる。前述の椿大神社・猿田彦神社の宮司もともに古くから猿田彦の神孫と称する。

 

 

現代でも小説や漫画などの創作物の登場人物として用いられる。例えば手塚治虫の『火の鳥』シリーズには、「猿田」もしくは「サルタヒコ」という人物が多く登場する。それらの多くが、鼻が大きいという身体的特徴を持っている。