天津甕星(あまつみかぼし) ②

 

 

「カガ(香々)」は「輝く」の意で、星が輝く様子を表したものであると考えられる。神威の大きな星を示すという。平田篤胤(ひらた あつたね)は、神名の「ミカ」を「厳(いか)」の意であるとし、天津甕星は金星のことであるとしている。

 

 

星や月を神格化した神は世界各地に見られ、特に星神は主祭神とされていることもある。 しかし、日本神話においては星神は服従させるべき神、すなわち「まつろわぬ神」として描かれている。これについては、星神を信仰していた部族があり、それが大和王権になかなか服従しなかったことを表しているとする説がある。

 

 

全国の星神社(ほしじんじゃ)や星宮神社(ほしのみやじんじゃ)の多くは天津甕星を祭神としている。

 

 

天津甕星を服従させた建葉槌命は、天羽槌雄神(あめのはづちのおのかみ)と同一視されることもある。

 

 

茨城県日立市大甕神社(おおみかじんじゃ)は、建葉槌命を主祀神とする(一説には素戔嗚尊とも)。 同神社伝では、甕星香々背男(天津甕星)は常陸国の大甕山(おおみかやま)に居を構えて東国を支配していたとしている。大甕神社の神域を成している宿魂石は、甕星香々背男が化したものと伝えられている。

 

 

葦原中国平定に最後まで抵抗した神ということで建御名方神(たけみなかたのかみ)と同一神とされることもあり、また、神仏習合の発想では北極星を神格化した妙見菩薩(みょうけんぼさつ)の化身とされることもある。