武内宿禰 考証

 

『日本書紀』『古事記』の記す武内宿禰の伝承には、歴代の大王に仕えた忠臣像、長寿の人物像、神託も行う人物像等が特徴として指摘される。特に、大臣(おおおみ)を輩出した有力豪族の葛城氏・平群氏・巨勢氏・蘇我氏ら4氏が共通の祖とすることから、武内宿禰には大臣の理想像が描かれているとされる。ただし、『古事記』では『日本書紀』に比して物語が少ないことから、『旧辞(きゅうじ)の成立より後、蘇我馬子中臣鎌足ら忠臣がモデルとなってその人物像が成立したと推測される。

 

 

また、弟の甘美内宿禰(うましうちのすくね。味師内宿禰)とともに「内宿禰」を称することから、大和国宇智郡(うちぐん)を根拠とした豪族の有至臣(うちのおみ。内臣)との関連も指摘される。