天満大自在天神 余話 怪異
· 『平家物語』では、源頼光(よりみつ)が土蜘蛛(つちぐも)を追いかけていくと、北野天満宮裏手に塚があり、そこが巣になっていたという。また、福岡県みやま市には、天神を主祭神とする老松神社(おいまつじんじゃ)があり、その境内には、神功皇后(または景行(けいこう)天皇)に討伐されたとされる、土蜘蛛の女性首長、田油津媛(たぶらつひめ)(または葛築目(くずちめ))を葬った蜘蛛塚(旧女王塚)が残されている。
· 江戸時代初期の古浄瑠璃『丑御前の御本地』(うしごぜんのごほんじ)によれば、源頼光の母が、北野天神が胎内に宿るという夢をみたのち、三年三月と云う長い妊娠期間を経て、丑の年丑の日丑の刻に、牛の角と鬼の顔を持つ丑御前(うしごぜん)という怪物を出生したという。
· 室町時代に描かれた『社頭古絵図』(しゃとうこえず。北野参拝曼荼羅)には、北野天満宮境内の北西の角に天狗山(てんぐやま)と呼ばれる小山があり、烏天狗(からすてんぐ)が描かれている。大昔、この辺りには天狗が出没していたという。現在は「一願成就のお牛さま」が祀られている。
· 吉羽天満宮(よしばてんまんぐう)南方に位置する天神池には、ヌシである大蛇が現れ近づいてきた人を引きずりこんだという。
· 青森県にある、唐松天神堂(からまつてんじんどう)という小さな祠の境内に、大蛇が現れた為、蔦林(つたばやし)家の者が退治したところ、大蛇の祟りが起こり、蔦林家は途絶えてしまったという。