天満大自在天神 住居

 

天神が住むとされる場所は、神仏習合の影響により、混淆した世界観で現されている。

 

 

大威徳城

『日蔵夢記(にちぞうゆめのき)(道賢上人冥途記。どうけんしょうにんめいどき)』によれば、金峰山(きんぷせん)浄土から数百里離れたところにあるという。大きな池があり中に百里ほどの島がある。そこに八寸四角の壇があり、中にの華が1つある。その華の上に宝塔があり、中に妙法蓮華経を安置し、東西に両界曼荼羅がかけられている。島の北方には、日本太政威徳天が住む光明照り輝く大きな宮城があり、中を無数の眷属(けんぞく)達が守っているという。

 

済度衆生界

『北野天神縁起』によれば、天満大自在天神は、「済度衆生界」に常に住居し、普賢菩薩文殊菩薩観音菩薩地蔵菩薩などの諸菩薩が互いに来って化度しているという。天神は、一瞬のうちに三界(さんがい)を往来でき、毎日、帝釈宮閻魔王宮大梵天宮五天竺・大唐の長安城西明寺(さいみょうじ)青竜寺(せいりゅうじ)・新羅国郡武城・日本国の皇城や五畿七道の霊験ある寺社への往来も自在であるという。また、往来には随身する者も多くその伴党はすべて、恨みを含んで世に背いた「貴賤霊界」の者が集合したものであるという。

 

霊山会上 西方極楽世界

『連通抄』によれば、昔は霊山会(りょうぜんえ)上で法を説き、今は西方極楽浄土の教主となっているという。濁世には観世音菩薩十一面観音となって顕れて、下品衆生をもらさず救っているという。それは、北野託宣の「連歌」(無尽経という)で、愚かな者たちを仏の道に導くための方便だという。その神徳・功徳は、真言の祈祷、念仏よりも優れているという。