葦原中国(あしはらのなかつくに)

 

葦原中国旧字体:葦原中國、あしはらのなかつくに)とは、日本神話において、高天原黄泉(よみ)の国の間にあるとされる世界、すなわち日本の国土のことである。

 

 

 

 

豊葦原中国(旧字体:豐葦原中國、とよあしはらのなかつくに)とも呼ばれ、単に中国(なかつくに)、もしくは中津国中つ国)とも言う。日本書紀には、豊葦原千五百秋瑞穂國(とよあしはらのちいほあきのみずほのくに)という記載がある。神々の住む天上世界である高天原と、死後の世界である黄泉、あるいはスサノオが治める根之堅洲国(ねのかたすくに)に対比された日本の国土を指すと考えられる。

 

 

日本神話によれば、スサノオの粗暴に心を痛めた姉の天照大神天岩戸(あまのいわと)に隠れてしまい世の中が混乱してしまった。このため、八百万(やおよろず)の神外は協議の結果、スサノオに千位置戸(ちくらのおきと。通説では財物、異説では拷問道具)を納めさせ、鬚を切り、手足の爪を抜いて高天原から追放したとされる(『古事記』では神逐(かんやらい)、『日本書紀』では逐降(かんやらひやらひ)と称する)。スサノオの息子である大国主おおくにぬし。オホナムチ)が、スクナビコナと協力して天下を経営し、禁厭(まじない、きんえん)、医薬などの道を教え、葦原中国の国作りを完成させたといわれる(日本書紀)。大国主はのち、国土を天孫ニニギに譲って杵築(きづき)の地に隠退、後に出雲大社の祭神となっている。