国魂(くにたま) ①

 

国魂(くにたま)とは、神道の観念の一つで、国(令制国)または国土そのものを神格化したものである。国霊とも書く。

 

 

本居宣長は、「その国を経営坐(つくりし)し功徳(いさお)ある神を、国玉国御魂」というと書いている。古来、国を治めるのは為政者だけでなく、その土地に鎮座する神の力も働いて成就されると考えられていた。

 

 

大国主神の別名に「大国魂神」(おおくにたまのかみ)「顕国魂神」(うつしくにたまのかみ)があるが、これは各地の国魂神(くにたまのかみ)を大国主に習合させたものと考えられている。各地の神社で開拓の祖神として祀られている大国主は、元々はその地の国魂神であったと考えられる。ただし、『出雲国風土記』には、意宇郡(おうぐん)飯梨郷(いいなしのさと)(現在の島根県安来市)には国魂神自体ではなく大国魂神が降臨したということも書かれ、同風土記には大国魂命、造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ。大国主神)、大穴持命(おおあなもちのみこと。大国主神の別名)が個別の神として記されている説もある。