八神殿 関係事項

 

古代からの神祇官の祭祀は、応仁の乱頃までには完全に廃絶している。8神の祭祀は江戸時代に再興されたのち、明治以後は神殿(しんでん。宮中三殿の1つ)に継承されているが、その祭祀内容は古代からは全く変化したものになったといわれる。

 

 

8神のうち特に大宮売神は、京都において大宮姫稲荷神社(おおみやひめいなりじんじゃ。京都府京都市上京区主税町)として伝わっている。また関連社として、「大宮売」を称する唯一の式内社である大宮売神社おおみやめじんじゃ。京都府京丹後市)が知られる。

 

 

なお神祇官の八神殿と関連して、古代の大嘗祭(だいじょうさい)においても、京と悠紀(ゆき)・主基(すき)2国の斎場院(さいじょういん)において「八神殿」と称される仮設の建物が設けられたことが知られる。『貞観儀式(じょうがんぎしき)巻第2(践祚大当祭儀上)や『延喜式』巻第7(神祇7 践祚大嘗祭)によれば、その際に祀られる神は

 

o 御歳神(みとしのかみ)

o 高御魂神(たかみむすびのかみ)

o 庭高日神(にわたかつひのかみ)

o 大御食神(おおみけつかみ。御食神(みけつのかみ)

o 大宮女神(おおみやのめのかみ。大宮売)

o 事代主神(ことしろぬしのかみ)

o 阿須波神(あすはのかみ)

o 波比伎神(はひきのかみ。波比岐)

 

の8神であり、「御膳八神」(みけつはっしん)とも総称された。これら8神の祭祀は大膳職(だいぜんしき。朝廷において臣下に対する饗膳を供する機関による神饌準備のためで、神祇官8神の祭祀が天皇守護のためであるのとは異なっており、構成される神々も8神中4神は異なる。しかしながら核となる神々は共通することから、これら大嘗祭での仮設の祭祀が神祇官での常設の祭祀の原始形態にあたると推測する説が挙げられている。