オオミヤノメ 解説

 

神祇官で祀られた天皇守護の八神(はっしん)のうちの一柱として、朝廷で重視された女神である。宮殿の人格化とも女官の神格化ともいわれ、上述したように君臣の間を取り持ち調和を図る神とされる。こうした性格から、旅館百貨店など接客業の守護神として信仰されるほか、家内安全・家族和合の神ともされている。

 

 

伏見稲荷大社で祀られる稲荷三神(いなりさんじん。上社・中社・下社の神の総称)の一柱でもあり、主祭神のウカノミタマ配神(はいしん)として上社に祀られている。穀物神であるウカノミタマに仕える巫女を神格化したものともされる。こうした属性から平安京の官営市場の守護神として祀られた結果、商売繁盛の神としても信仰されるようになった。

 

 

また、江戸時代国学者・平田篤胤(ひらた あつたね)は『宮比神御伝記』で、伊勢神宮内宮に祀られる宮比神(みやびのかみ)は、オオミヤノメまたはアメノウズメ(芸能の女神)の別名であると説いている。祐徳稲荷神社(ゆうとくいなりじんじゃ)志和稲荷神社(しわいなりじんじゃ)でもオオミヤノメをアメノウズメに当てており、技芸上達の神としている。