護国神社 指定護国神社 ③
指定護国神社は1府県1社を原則として指定されたが、崇敬地域の広い北海道は3社が指定され、岐阜県・兵庫県・島根県・広島県は2社が指定された。これは、県内に複数の陸軍聯隊区(れんたいく。連隊区)が存在して各々の地元意識が強く、県内1箇所に調整できなかったことに起因する。例えば広島県の場合、福山市(備後国、歩兵第41連隊)と広島市(安芸国、歩兵11連隊)にそれぞれ1社ずつ存在する。なお、全国の英霊を祀る靖国神社のある東京都には指定護国神社は存在しない。また、社名については指定護国神社以外は、道府県名を冠することが出来ない。
このうち、神奈川縣護國神社、宮崎縣護國神社、熊本縣護國神社の3社は1945年(昭和20年)8月15日時点で完成に至らず、日本の敗戦に伴い造営が中止された。
神奈川縣護國神社は、1942年(昭和17年)7月27日、横浜市神奈川区三ツ沢西町・南町(現在の三ツ沢公園)に創立許可を得て社殿造営が開始されたが、完成間近の1945年(昭和20年)5月29日の横浜大空襲により焼失した。第二次世界大戦後も再建されず、神奈川縣護國神社跡地には、1953年(昭和28年)3月に横浜市戦没者慰霊塔が建てられた。なお、同年11月5日竣工した神奈川県戦没者慰霊堂(横浜市江南区最戸)には戦没者及び戦災死者5万8千余名の名簿が納められ、毎年5月10日に神奈川県主催の神奈川県戦没者追悼式が行われるほか、多宗教による合同祭祀が行われている。