御木曳 用材
檜(ひのき)の丸太である。御樋代木奉曳式(みひしろぎほうえいしき)を除き、神宮の工作場で外皮を剥いだ物を用いる。
御樋代木は、ご神体を納める御樋代(みひしろ)の用材である。これのみ木曽山中から伐り出された用材をそのまま奉曳する。
御木曳初式で奉曳する用材は、役木(やくぼく)といい正宮および別宮の重要用材ということであるが、詳細は公表されていない。 第61回においては「棟持柱(むなもちばしら)など」という表現をしていたが、第62回においては、棟持柱は含まれていないと発表している。
御木曳行事で奉曳する用材は、用途を特定されはいない。 但し、伝統的に内宮・外宮の正宮の扉木(とびらぎ)・棟持柱として奉曳されるものがあり、他の用材に比べ群を抜いて太かったり、長かったりする。 第58回、第59回においては、これらの用材を特殊用材あるいは重要用材として、第3年次に奉曳するようにしていた。 第58回においては、荒祭宮・風日祈宮・月讀4宮の棟持柱も第3年次に奉曳したとの記録が残っている。 第59回は戦災のため奉曳は中止された。 第60回以降は、これらの用材の奉曳に特別な日程は組まれてはいない。
用材を「御神木(ごしんぼく)」と呼ぶことがある。 御樋代木のみをそう呼ぶことが多いが、全ての用材をそう呼ぶ人もいる。 単に「御木(おき)」と呼ばれることもある。
心御柱、御船代、仮御樋代に用いられる用材は、奉曳されない。
一つの橇(そり)または奉曳車に積まれる用材の本数は、1 - 3本である。 御樋代木・役木・扉木・棟持柱は各1本である。(月讀宮の役木を除く。) 明治年間には、1台の奉曳車に40本以上の用材を積んだという記録が残っている。