安日彦(あびひこ)
安日彦(あびひこ)は中世日本神話に伝わる伝説の人物の一人。安日王とも。
鎌倉~室町期成立の『曽我物語』(そがものがたり)に蝦夷の祖を流罪にされた鬼王安日(きおうあび)とする伝承が記載されている。長髄彦(ながすねひこ)の兄とされ、彼と共に青森県の弘前に逃れたとも、単独で津軽地方に流されたとも伝わる。ただし古事記や日本書紀に安日彦の名は乗っていない。
ちなみに文献学的には、長髄彦の兄とする記録よりも、「安日長髄彦」という名で同一人物であるとする記録のほうが古く、後者が原形であると推測される。
長髄彦一人が大和で死なずに東北に落ち延びたという伝承は鹽竈神社(しおがまじんじゃ)にもあるが、この塩釜神社の伝承も含めて、長髄彦(またはその兄、または兄弟2人)が津軽に逃げてきたという伝承は、一般的には中世以降の創作と考えられている。