中世日本紀 主な神話 天叢雲剣
新羅の僧 道行(どうぎょう)が熱田神宮(あつたじんぐう)の神剣 天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を盗み新羅に持ち帰ろうとしたとの『日本書紀』の逸話も、大江匡房(おおえ の まさふさ)の『筥崎宮記』(はこざきぐうき)では、自ら道行から何度も逃げた天叢雲剣が逃げられなくなったとき、阿弥陀如来の垂迹である宇佐八幡(うさはちまん)が道行を蹴殺して草薙剣を奪い取ったことになっている。同様の話が『平家物語』にも見え、こちらでは熱田明神が住吉大明神を討っ手に道行を蹴殺したことになっている。
また、『平家物語』や『愚管抄』(ぐかんしょう)などでは、安徳(あんとく)天皇はヤマタノオロチの転生であって、オロチが奪われた自らの宝剣を奪い返して竜宮に持ち帰ったという。これを受けて『太平記』では、承久の乱以降に武家の権力が強く皇室の威光が衰えたのは宝剣が海底に沈んでいたからであるとし、天照大神が龍宮に神勅を下して、伊勢の浜に宝剣を打ち上げさせたとしている。