神職 服制 常装


狩衣(かりぎぬ)、差袴(さしこ。色目は正服に準ずる)、烏帽子(えぼし)



狩衣の色目・紋様は禁色(きんじき。官人の官位等に応じて禁じられた服装)を除いてまったく自由である。禁色とは高貴な人が着る色目で、神社本庁では天皇陛下御服(ごふく、ぎょふく)である黄櫨染(こうろぜん)皇太子殿下が着用する丹(おうだん/おうに)の2色が禁色に指定されている。 なお、出雲国造は小豆色差袴(剱花菱紋)、立烏帽子懸緒懸緒紫打紐。笏(しゃく)または中啓(ちゅうけい)を用いる。



狩衣は小祭(月ごとに行われる恒例祭)、恒例式(大祓式。おおはらえしき)の他、地鎮祭、各種祈願祭等、その他の神事に着用する。なお、特に清浄を必要とする祭の際には、身分に拘らず無紋の白狩衣・無紋の白差袴・烏帽子の「浄衣」(じょうえ)を着用する。



神事において神職の役割は、その祭を主宰する斎主と、祭具を運んだり玉串を手渡したりといった補佐的な役割をする祭員に分けられる。この場合、原則として全員同じ装束を着用する。これは、社殿が広く祭場の場所が充分に取れる場合は差し障りないが、実際問題として、社殿の小さな一般神社では、数人の神職が正服を着用して祭を行う場合、他人と装束が触れ合いすぎたり、祭具に引っかけてしまったりと祭に支障をきたす場合がある。



正服は神職の正装であり威儀を正すという性質上、装束が大振りで活動的ではないからである。このため一般神社では、斎主は正規の服制に倣っても、祭員以下は小祭の服制(常装)に倣う場合が多い。また、一般神社では宮司1人で祭を行うことも多く、この場合、1人で祭具を運ぶ、玉串を手渡すといった動作をしなければならない。よって、一般神社では大祭・中祭であっても常装で行う場合もある。




なお、葬儀・結婚式の装束は以下のとおりである。



葬祭装束


神葬祭(しんそうさい)には、身分に拘らず無紋の鈍色(にびいろ、にぶいろ)衣冠、あるいは無紋の鈍色狩衣を着用する。この時、斎主が衣冠、祭員は狩衣を着用することが多い。この葬祭装束の鈍色ねずみ色)は忌色とされ、禁色とともに普段の着用は禁じられている。なお、神葬祭を行うことの少ない神社や地方の一般神社の神職は葬祭装束を揃えていないこともあり、その場合は斎服(さいふく)、浄衣の白色装束を着用する。



結婚式装束


神前結婚式については特に規定はないが、「その他の神事」ということで小祭に倣う(狩衣・浄衣)。複数の神職で式を行う場合は、斎主は斎服、祭員は浄衣と、白色装束で統一することが多い。