現世 現世利益(げんせりやく)


神仏の恵みが現世で与えられるとする信仰。 日本では、一般的に、多種多様な神仏は、それぞれの特色に応じた恵みを、生活の様々な局面のなかで授けてくれるという世界観が根付いている。 一般的に、宗教における現世利益の位置づけは軽視されがちであるが、日本においては、神仏と切っては切れないものとして認識されている。

神教

古来より、地域共同体の守護神である氏神や鎮守へ、村落などの氏子の共同体成因の集団的意志として、雨乞い、日乞い、虫送り、疫病送りなどの現世利益を得ることを目的とした祈願行為が行われていた。現代でも、「祭」のなかに、その伝統文化が根付いている。 現在では、個人の心願に応えるために、神前にて、加持祈祷(かじきとう)に長じた神主や巫女により祝詞奏上や舞の奉納がされ、祈願者の玉串奉奠(たまぐしほうてん)により得られるとする。 個人としての心願の種類としては、病気直し(自分とその家人)、家内安全、商売繁盛、生活苦からの離脱に分類され、そのうち、病気なおしを祈願する場合がもっとも多いという。

仏教

教典を読経したり、念仏・真言を唱えたり、祈祷を行うことにより得られるとする。 日本では、仏教伝来以降、国策として仏像の建設をするなど、現世利益を得る政策がとられた。そして、災厄が訪れ、生活が挫折した際、回復するためにご利益を願うという民衆の心意に対応し、古代末期から中世にかけてさかんとなった真言・天台密教による加持祈祷により、民衆に広まった。 現在でも、真言僧侶による護摩修行などが盛んに行われている。