伊勢の神宮における神饌 神嘗祭で献供される神饌


神嘗祭(にいなめさい)は「斎庭の稲穂」(ゆにわのいなほ)に由来し、収穫したばかりの新穀をもって五穀豊穣への感謝を奉げる祭りである。三節祭(さんせつさい)の中でも最も重儀とされる神嘗祭では、建物と御装束神宝を除くすべての祭器を新しくして行われる。




由貴大御饌(ゆきのおおみけ)とは、この上なく神聖洗浄で貴いことを意味し、朝、夕と御物を変えながら奉げられる品目はおよそ43品目。これらの御物は潔斎した神職によって2日間に渡って調製が行われる。 内宮では中央に天照大御神、東に天手力男神(あまのたぢからおのかみ)、西に萬幡豊秋津姫命(よろずはたとよあきつひめのみこと)の神饌を載せる素木の案がまず配置される。楽師による雅楽奏上の中、禰宜の手でまず箸が置かれ、以下のような品目が献供される。


献供される御物一覧


l 身取鰒(みとりあわび) 一連

l 玉貫鰒(たまぬきあわび) 三連

l 鰒(あわび)

l 鯛(たい)

l 御塩

l 御水

l 御飯(おんいい)三盛

l 御餅 三盛

l 伊勢海老

l 乾梭魚(かます)

l 乾栄螺(さざえ)

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l 乾香魚(あゆ)

l 乾鰹

l 海参(きんこ)

l 野鳥

l 蓮根

l 乾鮫

l 乾鯥(むつ)

l 水鳥

l 昆布

l 紫海苔

l 大根

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l 白酒(しろき)

l 黒酒(くろき)

l 醴酒(ひとよざけ)

l 清酒



神嘗祭をはじめとする神宮の祭祀は別宮、摂社、末社、緒管社合わせて125社でも行われ、献供される神饌の内容は社格に応じて異なる。神嘗祭でのすべての社で共通して奉げられる御物は御飯、御塩、御水、蓮根、柿である。