供物(くもつ)
供物(くもつ、offering)とは、宗教儀礼における供犠(くぎ)行為の目的達成のために、信仰対象に捧げられるもののことである。つまり神や仏あるいは先祖や故人の霊など、信仰あるいは崇拝する対象に捧げるもの(供え物、お供え)を指す。
供物は供儀との関係によって意味をもつ。
供物のもつ意味
供物に関する解釈はさまざまである。ビアッティ(Beattie, J.)は供儀の象徴的な側面こそが本質であるとし、人間と超自然的な存在との間にも互酬的な面がある、つまり人間と霊との関係には常に何らかの交換が行われている面があるので、それがしばしば霊に対する贈呈や譲渡となっている(物質的なもの、および非物質的なことがらを含む)、とした。
具体例
宗教の種類によりさまざまな供物があり、例えばキリスト教では聖餐式(せいさんしき。ミサ)におけるパンとぶどう酒がそれであり、日本の仏教では生花やお水や、果物、菓子類など、神道では米、飯、酒などのほか玉串(たまぐし)、青果物、魚(生魚、干物)あるいは菓子類の飲食物等があり正月には鏡餅を供える。
また、このようないわゆる「物」に限らず、捧げられるものには祈り・悔悟・精進といった行為による自己犠牲の観念にある自分自身を含むこともある。