神社 上社・下社


神社には上社(かみしゃ)と下社(しもしゃ)、あるいは上の宮と下の宮など二社に分かれる「二社制」が多くみられる。上社、中社(ちゅうしゃ)、下社の三社に分かれる「三社制」もある。



上社と下社はその位置関係から、上手のものを上社、低地のものを下社と呼ぶことが多い。また、本宮、本社から見て深奥部にある社は奥社、奥宮(おくのみや)、奥院、山宮、人里近い社は前宮、里宮、口宮などと呼ばれ、僻遠地の元宮に対し集落近郊に新たに建てられたものを新宮とも呼ぶ。



これらの上下社では祭神が異なる場合もあるが、一方がもう一方の若宮(わかみや)であったり、本宮の配偶神を祀るケースもある。これらの起源は不詳だが山奥に埋葬墓、都邑近郊に礼拝墓を設ける「両墓制(りょうぼせい)と関係があるとする説もある。また、山岳そのものをご神体として、その山麓に遙拝施設を建てたものを里宮の起源とし、神霊降臨の思想から山頂にもう1社を建て分祀したものを山宮の起源とする説もある。




l 賀茂神社(かもじんじゃ)


上賀茂神社かみがもじんじゃ。祭神 賀茂別雷神(かもわけいかづちのおおかみ))と下鴨神社(祭神 玉依姫命賀茂建角身命)。下鴨社の起源は上賀茂社からの分祀ともいうが定かではない。



l 諏訪大社(すわたいしゃ)


諏訪湖の南北に上下社があり、上社は建御名方神(タケミナカタノカミ)と妻の八坂刀売命(ヤサカトメノカミ)、下社は二神に加え兄神 事代主神(コトシロヌシノカミ)を配祀するが、民間では上社に男神、下社に女神とされる。さらに上社は本宮・前宮、下社は春宮・秋宮に分かれる。



l 熊野三山(くまのさんざん)


本宮大社速玉大社那智大社の三社。祭神は長年熊野三所権現とされた。本宮に対し速玉社は「新宮」と呼ばれ、本宮は山宮だが新宮は里宮である。本宮と新宮はさらに上中下社に分かれてそれぞれ祭神を祀る。



l 丹生川上神社(にうかわかみじんじゃ)


奈良吉野罔象女神(ミヅハノメ)を祀る。元は一社だったが近世に入り比定地の変遷に従い上中下の三社となった。



l 秋葉神社(あきはじんじゃ。秋葉山本宮秋葉神社)


秋葉山頂の上社と山麓の下社が山宮と里宮に対応する。祭神は秋葉大権現(カグツチ)として知られる。



l 富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)


市街地に本宮、富士山頂に奥宮を置く。祭神は浅間大神(あさまのおおかみ)。他に大宮口登山道中途に浅間大社旧跡とされる山宮浅間神社(やまみやせんげんじんじゃ)がある。本宮が里宮、山宮浅間神社が山宮、元宮に対応する。