当麻曼荼羅(たいままんだら)
当麻曼荼(陀)羅(たいま まんだら)とは、奈良の当麻寺(たいまでら)に伝わる中将姫(ちゅうじょうひめ)伝説のある蓮糸曼荼羅(はすいとまんだら)と言われる根本曼荼羅(こんぽんまんだら)の図像に基づいて作られた浄土曼荼羅の総称である。
曼荼羅という用語を用いているが、密教の胎蔵界・金剛界の両界曼荼羅とは無関係である。浄土曼荼羅という呼称は密教の図像名を借りた俗称であり、現代における正式名称は、浄土変相図である。
浄土変相図の図様としては、他に智光曼荼羅(ちこうまんだら)と呼ばれるものと、清海曼荼羅(せいかいまんだら)と呼ばれるものとがあり、当麻曼荼羅とあわせて、浄土三曼荼羅と称せられている。その中で、当麻曼荼羅の特徴は、一見して、図像が四つの部分に区切られており、他の浄土図に比べて極楽浄土中の尊像も数多く描かれていて、複雑な画面構成をしているという点である。
これは、本図が、浄土三部経の中の「観無量寿経」の中に説かれる内容を忠実に描いている点によっている。この事から観経曼陀羅とも言う。