宗派と五輪塔
真言宗
真言宗においては、五輪塔が密教思想から出たところから容易に察せられるように、墓塔として五輪塔を建てることは一般的である。
浄土真宗
浄土真宗では、「五輪塔」やそれを簡略化し薄板で作った「卒塔婆」は用いないとされる。浄土真宗では、先祖供養の教義概念が無いためである。浄土真宗の宗祖とされる親鸞は、「閉願せば、(遺骸を)鴨川にいれて魚にあたうべし」と遺言したと伝えられているが、実際には、弟子たちにより埋葬され、簡素な墓石を東山・大谷に建てられた。その墓石の形状は、西本願寺(にしほんがんじ)蔵・専修寺(せんじゅじ)蔵の「御絵伝」(ごえでん)には笠塔婆型で、比叡山の横川にある源信(げんしん)の墓を模したものと考えられる。しかし、高野山奥の院 親鸞墓所にある親鸞供養塔は五輪塔であり、しかも鎌倉期にしか見られない三角五輪塔である。
時宗
時宗の開祖 一遍(いっぺん)上人の墓塔は五輪塔で、いまも神戸市内に遺る。