秘密集会タントラ 内容 意図・姿勢 ②
第九分では、
· 仏曼荼羅と阿閦金剛を観想し、一切の衆生を殺す
· 輪曼荼羅と毘盧遮那・一切諸仏を観想し、一切の財物を奪う
· 蓮華曼荼羅と無量光・一切諸仏を観想し、一切の妃を瑜伽(二根交会。にこんこうえ)で享受する
· 仏曼荼羅と不空金剛・一切諸仏を観想し、一切の勝者(の拠り所となるもの)を欺く
· 三昧耶曼荼羅と宝幢を観想し、粗暴な言葉を使う
ことなどが説かれ、これまた第六分の場合と同じように反発した菩薩(摩訶薩)たちに対して、
· 貪欲行というものは、なんでも菩薩行であり、最勝行である
· 虚空と存在物が一体なように、これら五仏の三昧耶は、欲界にも、色界にも、無色界にも、四大種にも存在しない
· 虚空界という言葉の本源解釈によって、これら如来の三昧耶は理解されねばならない
といったことが説かれ、菩薩たちは驚きの目を見開く。(そして賛嘆の言葉を発し、章は終わる。)
この第九分においては、非倫理的な振る舞いの推奨が、仏教教義と明確に結び付けられ、合理化されて説かれている。
この第九分ほど明確ではないものの、『秘密集会タントラ』では、ところどころに「自性清浄・虚空・不生・無我・平等性・無分別(離分別)」といった類の似通った文言・主張・ほのめかしが散りばめられている。