無上瑜伽タントラ 種類


無上瑜伽タントラは以下のように「父(ふ)タントラ」「母(も)タントラ」「双入不二(そうにゅうふに)タントラ」の3つに分類される。



「父タントラ」は方便を、「母タントラ」は智慧般若)を、表すものとされる。また、ここに挙げた無上瑜伽タントラの経典は、その灌頂だけでも2日間から7日間かかり、最終期の『時輪(じりん)タントラ』を除く全てのタントラが、灌頂の参加人数を「25人以下」と定めているのもその特徴のひとつである。なお、参加人数が25人を超えた場合には、その灌頂とタントラに付随する全ての教えが無効となる。



分類

経典

父タントラ

秘密集会タントラ、幻化網大威徳金剛タントラ

母タントラ

喜金剛タントラサンヴァラ系タントラ群、最勝楽出現タントラ

双入不二タントラ

時輪タントラ



父タントラ

ブッダとその性的パートナーが「性的ヨーガ」を実践して曼荼羅を生成する過程を追体験する修行が中核となっている。



母タントラ

性的要素に呪殺、黒魔術的・オカルト(隠秘学)的要素も加わっているとされるが、本来は、修行者の身体における四輪や五輪等に代表されるチャクラや「五秘密」などの内的ヨーガを重視した心身変容と、ブッダ(覚者)の智慧との合一を図る内容が中核となっている。



双入不二タントラ

『時輪タントラ』は、父タントラと母タントラの統合を企図したものである一方、イスラーム勢力の脅威が迫っていた時代状況を反映し、イスラームとの最終戦争を予言するくだりもある。



プトゥンは『時輪タントラ』を不二タントラに分類したが、ゲルク派では『バジュラバイラヴァ』を不二タントラとする見解もあり、また、開祖であるツォンカパは『時輪タントラ』を母タントラとしている。サキャ派は『ヘーヴァジュラ』を不二タントラに位置づけている。