「准胝法」の特徴 


Ⅰ 『穢跡金剛』の日本への伝来は、空海の請来になる唐本『金剛童子随心呪』(巻子本)に始まる。梵名は「ウチュマ」(Ucchuma)、あるいは「ウチュシュマ」(Ucchusma)で「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)とも漢訳され、日本密教では「烏枢沙摩明王」と『穢跡金剛』は異名同体の同じ尊挌とされるが、唐密では、異名異体の異なる尊挌とされている。また、チベット密教では同じ梵名の尊格「ウチュマ」が、その姿や働きの違いにより、青い『穢跡金剛』、赤い「火頭金剛」(かずこんごう、かとうこんごう)、緑の「烏枢沙摩明王」、黒い「黒財神」(くろざいじん)として、それぞれ別の尊挌とされている。