「准胝法」の特徴 ①
1.前世からの宿業(しゅくごう。カルマ)をはじめ、あらゆる罪業を滅することが出来るとする点。
· 金剛智三蔵訳の『仏説七倶胝仏母准提大明陀羅尼経』には、「もしも比丘、比丘尼、在家の男や女が、この陀羅尼を九十万回唱えたならば、無量の劫(カルパ)における五無間罪(ごむけんざい)等の一切諸々の罪業が、余すところなく悉く消滅する」と説かれ、不空三蔵訳の『仏説七倶胝仏母所説陀羅尼経』には、「無量の劫(こう)において造る十悪(じゅうあく)の罪、四重禁(しじゅうきん)の罪、無間地獄に落ちる五つの罪などがすべて消滅する。また、それによりこの一生涯の間に、常に諸仏や諸菩薩に会うことが出来る」と説かれている。
· なお、空海が、高野山の開基の際に准胝観音を出家の得度の本尊としたのも、不空三蔵訳による『仏説七倶胝仏母所説陀羅尼経』の徹底した滅罪と、直接に仏やその教えの体現者である生きた菩薩や師僧と出会うことが出来るとする、この一節に基づくとされている。